Mac のローカル環境で作成した Django プロジェクトをさくらのVPSで用意した Ubuntu 環境へ反映する際の流れをメモしています。
▶︎ Django のおすすめ VPS(仮装専用サーバー)はOSから決めるべし
下記が完了していることを想定しています。
- Web サーバーの設定が完了済み(筆者は Nginx を使用)
- 仮想環境を作るディレクトリが決めてある
- サブドメインを設定する場合はそちらも対応済み
- データベースを本番環境にコピーする
- ローカル環境での作業
- 本番環境での作業
- ローカル環境のパッケージを本番環境で再現
- requirements.txt の作成
- requirements.txt を本番環境へコピー
- 本番環境で Python 仮想環境を作成
- requirements.txt によるパッケージインストール
- settings.py の編集
- ファイルを分割する必要性
- 開発環境の runserver 実行時に settings_dev.py を指定
- settings.py(本番環境用)の編集
- Django ソースコードを本番環境に配置
- 本番環境への git のインストール
- リモートリポジトリから本番環境へファイルをコピー
- gunicorn のインストール
- データベースのログイン情報を別ファイル記述
- 静的ファイルの配置
1. データベースを本番環境にコピーする
検証環境で準備したデータベース、テーブル、そしてデータを本番環境でも反映します。
ここはうまくやれば一行スクリプト書いて終了する方法もある様ですが、色々とエラーが出て逆にめんどくさそうだったのでステップバイステップでやっていきます。
ローカル環境での作業
まずローカル環境でコマンド「mysqldump データベース名 > dump.txt」を実行し、dump ファイルを作成します。
% mysqldump データベース名 > dump.txt %
それを FTP か何かで本番環境へアップロードします。
本番環境での作業
本番環境に接続し、本番環境の MySQL でデータベースを作成します。
mysql> create database データベース名;
そしてコマンド「sudo mysql データベース名 < dump.txt」を実行します。
$ sudo mysql データベース名 < dump.txt $
これで本番環境の MySQL にもローカル環境と同じデータベース、テーブル、そしてデータがコピーされました。
2. ローカル環境のパッケージを本番環境で再現
ローカル環境の Python 関連パッケージを本番環境でも再現するため、ローカル環境で requirements.txt ファイルを作成し、それを元に本番環境でパッケージインストールをさせます。
requirements.txt の作成
ローカル環境の Python 仮想環境へ入り、コマンド「pip freeze > requirements.txt」を実行します。
% source bin/activate % pip freeze > requirements.txt
requirements.txt を本番環境へコピー
コマンド「scp requirements.txt 本番環境のユーザー名@本番環境のホスト名(もしくは IP アドレス):保存先のディレクトリ」を実行します。
だいぶ長いですが下記の例だとすると。。。
- 本番環境のユーザー名: vpsadmin
- 本番環境のホスト名: xx1-234-56789.vs.sakura.ne.jp
- 保存先のディレクトリ: /var/www/example.com/html
下記の様になります。
scp requirements.txt vpsadmin@xx1-234-56789.vs.sakura.ne.jp:/var/www/example.com/html
無事本番環境に requirements.txt がコピーされました。
$ ls requirements.txt
本番環境で Python 仮想環境を作成
本番環境のディレクトリへ移動し、Python の仮想環境を作成します。
$ python3.9 -m venv pythonvenv $ ls pythonvenv requirements.txt
requirements.txt によるパッケージインストール
本番環境の Python 仮想環境に入った状態で、コマンド「pip install -r requirements.txt」を実行します。
(pythonvenv) $ pip install -r requirements.txt
すると requirements.txt の内容を元に Django を含めローカル環境で使っていたものと同じパッケージがインストールされます。
3. settings.py の編集
ファイルを分割する必要性
settings.py は本番環境と開発環境で内容が異なる部分が出てくるので、下記の様にファイルを分ける必要があります。(ファイル名は任意)
- settings_common.py:開発環境と本番環境で共通の部分を記述
- settings.py:本番環境でのみ適用する部分を記述
- settings_dev.py:開発環境でのみ適用する部分を記述
settings.py と settings_dev.py それぞれに「from .settings_common import *」と記述し、共通部分を settings_common.py から読み込む様設定します。
開発環境の runserver 実行時に settings_dev.py を指定
runserver 実行時、デフォルトでは settings.py が設定ファイルとして読み込まれますが、今後開発環境(ローカル環境)では settings_dev.py を使う必要があります。
そのため、今後開発環境で runserver を実行する際は settings_dev.py を「runserver --settings=プロジェクトディレクトリ名.settings_dev」の形式で渡して実行します。
(pythonvenv) % python manage.py runserver --settings=some_project.settings_dev
settings.py(本番環境用)の編集
DEBUG の変更
False に変更
DEBUG = False
ALLOWED_HOSTS の変更
ドメイン名を設定。
ALLOWED_HOSTS = ['example.com']
Web サーバーで www.example.com から example.com のリダイレクトを行っていれば example.com のみを設定するだけで大丈夫です。
静的ファイルの本番環境での配置場所
STATIC_ROOT = '/var/www/examlpe.com/html/static'
4. Django ソースコードを本番環境に配置
本番環境への git のインストール(インストール済みの場合は不要)
本番環境でコマンド「sudo apt update」を実行しパッケージリストを更新、その後「sudo apt install git」で git をインストールします。
$ sudo apt update $ sudo apt install git Reading package lists... Done Building dependency tree Reading state information... Done git is already the newest version (1:2.25.1-1ubuntu3.1). git set to manually installed. 0 upgraded, 0 newly installed, 0 to remove and 18 not upgraded.
リモートリポジトリから本番環境へファイルをコピー
プロジェクトフォルダをリポジトリに設定しているので、プロジェクトフォルダを配置したい場所へ移動した上で git clone を実行します。
$ git clone https://github.com/ユーザー名/リポジトリ名.git
これで本番環境にもプロジェクトフォルダがコピーされました。
ローカル環境からリモートリポジトリへファイルを反映させる方法はこちら↓
Github で開発ローカル → リモートリポジトリ → 本番ローカルに反映させる手順
5. gunicorn のインストール
本番環境でのみ必要となるものとして、アプリケーションサーバーがあります。今回は gunicorn を使います。
Python 仮想環境内でアプリケーションサーバーの gunicorn をインストールします。
(pythonvenv) $ pip install gunicorn
socket の待ち受けを開始します。これをしないとアクセス時に 502 Bad Gateway のエラーになります。
(pythonvenv) $ systemctl start example_sub.socket (pythonvenv) $ systemctl start example_sub.service
今後作業する際は何かにつけて「pkill gunicorn」で gunicorn を終わらせた方が良いです。エラーが起きた時にいくらコードを修正しても治らないまま数時間経って、「pkill gunicorn」一発で治ったこともありました。
6. データベースのログイン情報を別ファイルに記述
MySQL のデータベースを使用したんですが、Git で管理する性質上、settings.py にデータベースのユーザー名とパスワード直接記述するのは危なそうなので、別ファイルに分けました。
Git で管理しない local_settings.py というファイル(ファイル名は自由)を作成し、そちらに機密情報をまとめます。
.gitignore ファイルに local_settings.py を含めた上で、local_settings.py を作ります。
# local_settings.py DB_USER = 'DB ユーザー名' DB_PASSWORD = 'DB パスワード'
その上で settings.py にそれら情報を import し、DATABASES の設定に使います。
# settings.py from .local_settings import DB_USER as dbusr from .local_settings import DB_PASSWORD as dbpw DATABASES = { 'default': { 'ENGINE': 'django.db.backends.mysql', 'NAME': 'sa', 'USER': dbusr, 'PASSWORD': dbpw, 'HOST': '', 'PORT': '', } }
上記と別に、下記の様にしてサーバーの環境設定から取ってくる方法もあると思いますが、環境設定の上手い設定方法がわからなかったので今回はやっていないです。
DATABASES = { 'default': { 'ENGINE': 'django.db.backends.mysql', 'NAME': 'データベース名', 'USER': os.environ.get('DB_USER'), 'PASSWORD': os.environ.get('DB_PASSWORD'), 'HOST': '', 'PORT': '', } }
7. 静的ファイルの配置
コマンド「python manage.py collectstatic」を実行し、settings.py で STATIC_ROOT に設定したパスに静的ファイルを集約します。
$ python manage.py collectstatic
これでとりあえず本番環境でも動くと思います。